圧入Q&A

第7回 圧入Q&A 解答

第7回 圧入Q&A(初級編) / 土木学会誌 2012年3月号掲載  

Q.
高架橋や橋梁の下で杭を圧入したいのですが、硬い地盤でも施工できますか?


A.
硬い地盤でも施工できます。

圧入工法では、地盤条件や作業環境、使用する杭材にあわせて最適化されたシステム機器を用いて施工を行います。
空頭制限下での圧入施工に必要な各種寸法(杭材天端から上空障害物までのクリアランスや杭材の最大建て込み長)については、下記工法毎の説明をご覧ください。

【硬質地盤クリア工法】 【ジャイロプレス工法】 【上部障害クリア工法】




【硬質地盤クリア工法】

■ 玉石混りの砂層や岩盤層に杭を圧入

硬質地盤クリア工法

・玉石層や転石・岩盤層などの硬質地盤に鋼矢板や各種杭材を圧入する工法です。圧入と一体制御のオーガ装置で杭先端の直下地盤を最小限掘削し、貫入抵抗力を低減させながら杭を圧入します。


■ 空頭制限施工について(U形鋼矢板)

空頭制限施工/硬質地盤クリア工法

空頭制限下で、硬質地盤クリア工法にてU型鋼矢板を継施工する際の①杭の計画レベル(杭天端)から上部障害までのクリアランスと②杭の建て込み長は下記となります。

標準的なクレーンを使用する場合
 ①施工可能な最小空頭高  11.0m
 ②建て込み可能な最大杭長 1.5m

専用装置「ハンドリングシステム」を使用する場合
 ①施工可能な最小空頭高  7.0m
 ②建て込み可能な最大杭長 3.0m


▼ 標準クレーン使用時の施工例

道路拡幅工事(宮城県) 護岸擁壁補修工事(広島県) 高架橋耐震補強工事(北海道)
▼ ハンドリングシステム使用時の施工例

河川改修工事(静岡県、ハンドリングシステム使用) 橋梁拡幅工事(兵庫県、ハンドリングシステム使用)

空頭制限施工では、矢板割付およびオーガ装置割付の検討も必要です。
U形鋼矢板以外の杭材を用いる場合も含め、検討の際には当協会までご相談下さい。





【ジャイロプレス工法®】

■ 障害物を貫通する先端ビット付鋼管杭の回転切削圧入

ジャイロプレス工法

先端ビット付き鋼管杭に「回転+圧入」力を加え回転切削圧入することで、既設構造物や地中障害物を残置したまま打ち抜いて杭施工を行えます。控杭や前面支持杭などの斜杭施工にも対応しています。

ジャイロプレス工法の積算歩掛は見積対応となっています。


■ 空頭制限施工について

当工法で使用するジャイロパイラーは、完成杭の天端近くで圧入杭をつかむ機構により、空頭制限下での継施工に対応しています。特に空頭制限が厳しい場合は、機械寸法を圧縮したジャイロクリアパイラーで施工できます。
施工可能上空クリアランスや杭材の最大建て込み長は、杭径や使用する機種により異なります。検討の際には当協会または機械メーカーの㈱技研製作所までご相談ください。


▼ 空頭制限施工例

橋脚基礎補強工事(北海道) 橋台根固工事(広島県) 河川整備工事(東京都)




【上部障害クリア工法】 

■ 上空制限のある場所で杭を圧入

上部障害クリア工法

橋梁などの構造物の下や、高圧電線など上部空間に制限のある場所で、現況の交通や構造物の機能を維持しながら、鋼矢板や鋼管矢板を圧入する工法です。


■ 空頭制限施工について

空頭制限施工/上部障害クリア工法

当工法では、空頭制限に特化した専用のクリアパイラーを用いることで、杭の計画レベルから上空障害まで、U形鋼矢板400mm幅で1,550㎜、鋼管矢板φ800~1,000で2,400㎜以上のクリアランスがあれば、施工が可能です。

上記条件における杭材の建て込み長や、その他杭材における空頭制限施工時の各種寸法については、当協会までお問合せください。


▼ 空頭制限施工例

橋脚耐震補強工事(広島県) 護岸根固工事(千葉県) 橋脚耐震補強工事(東京都)